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天の国の鑑

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

散歩の途中で、大きな菜の花畑を見つけた。数千本は植えられているだろう。まるで、辺り一面に黄色い絨毯が敷き詰められているようだった。美しさに心を奪われ、わたしはしばらくその場に立ち尽くした。菜の花の、なんとも言えず優しい黄色の向こう側から「小さなことでくよくよするな。頑張れ」という励ましの声が聞こえてくるようだった。眺めているうちに、心の底から喜びと力が湧き上がってきた。

散歩をしていると、自然の美しさを通して、神様から話しかけられたような気持ちになることがある。自然の美しさを通して、神様はわたしたちに愛のメッセージを語りかけているのだ。わたしたちを取り巻く自然は、愛のメッセージをたっぷりと詰め込んだ、神様からのラブレターだと言っていいだろう。

ラブレターを読むとき、わたしたちはその中にこめられた相手の愛を感じて幸せな気持ちになる。だが、もっと幸せなのは、ラブレターをくれた本人と出会い、相手と直接に向かい合うことだろう。もし神様と直接に出会えれば、その喜びはラブレターの比ではないはずだ。

神様は、天国におられる。いつかこの世を去って天国に行くとき、わたしたちはラブレターをくださった神様ご自身と、顔と顔を合わせて出会うことになるのだ。そう考えると、この地上を去ることは少しも恐ろしいことに感じられない。むしろ、こんなにすばらしいラブレターをくれた方は、いったいどんな方なのだろうかと心がわくわくしてくる。神様の笑顔を直接に見つめるとき、わたしたちは時間さえ忘れてしまうに違いない。天国でわたしたちは、時間を忘れ、永遠に神様の愛の中にとどまりつづけるのだ。

地上での使命を果たし終えて天国に迎えられる日が、待ち遠しくて仕方がない。