私はまだ子供で日曜学校に通っていた時から、このヨハネ福音書の冒頭が大好きでした。当時は文語体の聖書で、『初めにことばありき・・・』と大きな声で暗誦し気分を高揚させたものです。今思うと子供心にも「ことばは神なり」という所に、無限の可能性を感じていたのでしょう。
誰も知らない何も無い所に一人ぼっちで居る時、誰かに話しかけられた一言から、にわかに元気が出て来るという体験は、子供にとって貴重です。この体験は次に、全く新しい環境に放り出された時、自分から言葉を発することが出来るという勇気に繋がります。
素直なことばは発した人そのものなので、黙って聞いているとその人の出身地や職業、人柄までが表現されていることに気付きます。選挙運動のときなどは様々なことばが飛び交いますが、本当のことばではないので、騒がしい音に過ぎません。
ヨハネも「言の内に命があった」と言っています。命そのものの言によって、人は互いに理解を深め力を束ね、困難を乗り越えていきます。
私はことばに無限の可能性を感じます。