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まわり道をしても・・・

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

私たちは、仕事でも家事でも、最短距離で最大の効果を上げたいと願います。それが正しいように思えるのです。しかし、これはすべての場合に当てはまることではありません。

例えばお料理は、じっくりと吟味して新鮮な野菜を購入し、ゆっくり時間をかけて作ると平凡な煮物でもおいしくできます。研究者がしっかりと分析したものを読んだわけではありませんが、冷凍の野菜ばかりを食材にしていると、栄養価が低く、疲れやすくなる気がします。まわり道のように見えても、時には時間をかけて料理をすると体にいいように思えます。

手紙を書くこともそうだと思います。今の時代、忙しくない人はいません。メールの方が早く、用件は伝わりますが、手紙を受け取った時の豊かに満たされた気持ちは味わえません。手紙を書くことはよほどの意志が必要なのです。私は書くことが好きですが、それでも、便箋を取り出して書き、終わった後も住所を書き、切手を貼り、ポストを探すのは「相手を喜ばせたい」という強い気持ちが必要です。しかし、返事が来るとさらに大きな満足がやってきます。気持ちが疲れた日、私は友人の手紙をベッドの中で読みます。柔らかな風が心に吹いてきて安心するのです。ほっとして眠りにつけます。それは友人が私のために、時間をさいて書いてくれたものだからです。

「まわり道」のように見えても、人とのつきあいには最短距離などないのではないでしょうか。

聖書にも「古くからの友人をなおざりにするな。彼は新しい友にはるかにまさる」とあります。(シラ書9・10)

友情は、一緒に喜びを味わってきた時間の長さが造り上げるものだからでしょう。