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まわり道をしても・・・

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

元々、まわり道とか、道草とかが私は好きでした。しかし、いつの頃からか、それがなくなってしまいました。時間に追われていたり、その気がなくなってしまったりしたことが、その理由なのですが、同時に、自分の生活の中で、時間節約と効率を最優先するようにもなっていった気がします。

今から10年ほど前、初めてアフリカ大陸に出かけた時。アメリカのシカゴから飛行機に乗って、スイスのチューリヒで飛行機を乗り換えるはずでした。乗り換え時間が比較的少なめだったので、いやな予感がしたのですが、シカゴを出発するのが少し遅れた時、この予感は的中してしまいました。

案の定、チューリヒ空港では、タッチの差で、ケニアのナイロビ行きの飛行機に乗り換えることができず、途方に暮れてしまいました。

カウンターで接続の飛行機に乗り換えられなかったことを説明し相談してみると、一旦、アラブ首長国連邦のドバイに飛び、そこで6時間ほど待ってから、ナイロビ行きの夜行便に乗り換えてください、とのことでした。

ナイロビに到着するのが12時間も遅れてしまいましたので、私にとっては、とんだまわり道になりました。しかしながら、どうにも仕方がありません。

でも、この巨大なドバイの空港をぐるぐる回っているうちに、オイルマネーの莫大な利益と、アフリカの人たちの気性を垣間見ることができました。

ナイロビ行きのロビーは人でごった返していて、人々の話し声も大きかったのですが、搭乗案内が始まった途端、話し声がピタリと止んでしまいました。あれだけの人がいたのにとても不思議でした。

まわり道には新しい発見がある、まわり道をしても目的地にはたどり着ける、そんなことを思い出させてくれた貴重な体験だった気がするのです。