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キリスト教との出会い

中井 俊已

今日の心の糧イメージ

私は大学生の時にキリスト教と出会い、洗礼のお恵みをいただきました。

生まれ育った鳥取県境港市では、キリスト教にふれる機会はなく、むしろ中学生高校生の時は、宗教に否定的な考えをもっていました。宗教は科学と相反するもの、この世に望みのなくなった人が最後の頼みの綱としてすがるもの、若者らしい自由を束縛するもの。そんな間違った暗いイメージをもっていたのです。

私が信仰のお恵みをいただけたのは、長崎大学在学中です。教育学部の同じクラスで、一人のカトリック信者に出会ったことがきっかけです。そのH君自身も、高校生の時に友だちの影響で洗礼を受けた人でした。

H君は特に変わったところのない、スポーツ好きで勉強も真面目な学生の1人でした。ただ私と確かに違っていたのは、彼のもつ信仰心が日常生活を活き活きしたものにしていたことです。カトリック信者であることに誇りをもち、その教えの素晴らしさをまわりの人にも伝えようとしていました。キリスト教が理性にかなったものであること、この世を充実して幸せに生きたい老若男女すべての人のためになることを、私は彼の言葉と振る舞いを通して知りました。

なぜ信仰を伝えるのか、彼は次のように言いました。

「自分の持っている最も良いものを伝えたい。相手が自分の家族や友だちなら、当然のことじゃないか」

彼に出会わなかったら、私がキリストの教えを勉強し始めることも、その2年後に洗礼を受けることもなかったでしょう。