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クリスマスのおとずれ

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

2012年の冬、10年来の夢が叶いました。それは、日本のクリスチャンにとって聖地の一つである五島列島でクリスマスを過ごすという夢でした。「麻由ちゃんの夢なら一緒に叶えてあげる」と、2人の友人が五島旅行を計画してくれたのでした。不思議なことに2人は、洗礼を受けていない「ノンクリスチャン」なのです。

さらに不思議なことに、ちょうどそのころ、私には五島の神父様と知り合う機会が与えられていました。ツイッターでなんとなくつぶやきを交わしていたのですが、五島に行くことが決まったとお知らせすると、さまざまな情報をメールで送ってくださったのでした。

クリスマスの夜、神父様の御ミサに与り、初めてご挨拶をしました。その聖夜は、忘れられないものでした。

隠れキリシタン弾圧の壮絶な歴史を背景に、五島のカトリック教徒の方たちは、日々の生活のなかに自然に信仰を織り込んでおられる印象がありました。信徒の子どもたちは日曜に普通に教会に行き、クリスマスの夜には学校の制服を着て、村々にある教会に歩いて行きます。

ミサが始まると、真後ろの席で、それまでバリバリの長崎弁で近所の人たちと世間話をしていたおじいちゃんが、大きな声で聖歌を歌いはじめました。それが、実に見事な調子っぱずれなのです。おじいちゃんは恥ずかしがりもためらいもせず、最後まで調子っぱずれのまま歌い上げ、長崎のアクセントで祈りを唱え、信仰告白をしました。

美しい、と思いました。いつも神様を傍に感じ、気負わずに調子っぱずれに呼びかけることができる。神様は、ちゃんと聞いておられる。その感覚が信仰というものなのでしょう。

今年もクリスマスがきます。お互いに良き発見がありますように。