ある日、村の司祭から「今日は一緒に行こう」と誘われた。車で2時間、そこからさらに山道を歩いて4時間のところにある教会をぜひわたしにも見せたいというのだ。彼自身、その村を訪れるのは3カ月ぶりだという。早朝に出発したが、舗装されていないでこぼこの泥道を四輪駆動車に揺られて走り、草をかき分けながら道なき道を歩いて、ようやくその村に着いたときにはもう昼過ぎだった。
丘の上に建てられた木造の質素な教会にわたしたちが近づくと、教会の鐘が高らかに打ち鳴らされ、村の人々が教会に集まってきた。真っ白な祭服を着たわたしたちをじっと見つめる村人たちの目は、大人も子どもも、生き生きとした喜びで輝いていた。彼らにとって、わたしたち司祭はイエス・キリストの誕生を告げる使者であり、イエス・キリストそのものにさえ見えたのかもしれない。
サンタクロースの代わりに、司祭がやって来るクリスマス。贅沢なごちそうではなく、イエス・キリストを囲んで食卓につくクリスマス。きらびやかなプレゼントの代わりに、神様の愛が届けられるクリスマス。それこそが、「本物のクリスマス」だろう。