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迷い

高見 三明 大司教

今日の心の糧イメージ

子どもに限らず大人でも迷子になることがあります。団体で海外旅行をするときなど、みんな一緒に行動しないといけないのに、つい何かに気を取られたり、写真を撮ったりしている間にはぐれてしまう人がいます。迷子になるということは、全くはじめてのところで、言葉も通じず、今自分がどこにいるのか全く見当がつかないということです。極端に言えば、東も西も、上も下もわからないような広大な宇宙の中に一人いるときのようなものです。

しかし、地図を手にし、通りの名前、あるいは何か目印になるものがわかれば、それを頼りに移動することができます。見知らぬ土地では迷子にならないように注意することはもちろんですが、万が一迷子になったとしても、携帯電話、地図、自分のホテルの住所と名前など、何か手がかりになるものを持っていれば何とかなるものです。

ところで人生にも迷うことがあると思います。どんな職業を選べばよいか迷うことも、人生にとって重大なことの一つです。しかし精神状態が、暗い袋小路に追い詰められたような状況になるとすれば、かなり深刻です。どうすれば迷路から抜け出せるのか方法もわからず、判断もつかないなら、ますます追い込まれて、元に戻れない危険さえあります。

そのような迷いから抜け出すための強力な手がかりは、人とのつながりではないでしょうか。気軽に相談のできる親や兄弟、友達、先生や上司などとのつながりが頼りになると思います。一人で悩まず、誰かに相談することです。他方、人が迷うとき、迷う当人だけではなく、その人を見失わないように見守り、注意する人たち、また、その人が迷い出たなら探し出そうとする人たちが周囲にいることも、当然ながら、大切なことだと思います。