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先輩に倣う

村田 佳代子

今日の心の糧イメージ

「倣う」とは"手本にしたものをまねる"という意味です。

「先輩に倣う」とは、仕事のやり方をまねるということもありますし、マナーや話し方など好ましい部分をまねるとか、旅や食事など先輩の話をそのままなぞって、体験する事にも通じるでしょう。

ところで先輩と一口に云っても、単純な相手ばかりではありません。一般的には学校や職場、スポーツや趣味のサークルなどで、自分より先に入っていた人の事です。お互いに先輩と後輩という関係を、認め合っているので問題はありません。ところが実際にあまり互いの関係が解っていないのに年齢や地位、学問や経験が自分より上であると感じる場合に、先輩と云ってしまう事があります。始め下手に出て後で、自分の方が先輩である事を相手に気付かれ、却って気を遣わせるという事もあります。

私は自分が不得意な事が出来る人、知らない事を知っている人、経験豊富な人、物事に良く気が付いて、先々迄予見できる人などはたとえ年齢は私よりずっと若かろうが、最近仲間になった新人であろうが、私にとって倣うべき人であり、先輩と呼びたい人と思っています。

福音書にはこんなエピソードが出てきます。"主の一行がカファルナウムに着いた時の事、イエスは弟子達に「途中で何を議論していたのか」とお尋ねになった。彼らが答えずにいるとイエスは12人を呼び寄せて「一番先になりたい者は、全ての人の後になり、全ての人に仕える者になりなさい。」と言われた。"(マルコ9・33~36)

弟子たちは道々誰が偉いかを議論していて、それが良い話題でない事を自覚していたので、黙っていたのでしょう。

誰が先輩かより、自分が倣いたいと思う人と出会ったなら、心の中の先輩と、目標にして近づく努力をしましょう。聖人・福者の生涯に倣うように。