毎朝欠かさず子どもたちを連れてミサに参加していた"おとうさん"は、厳しくて怖いときもありましたが、楽しいお酒を飲み、お世話好きで遊び心もありました。売るための薪割りをした時は、母に煎り豆を準備させておやつにしたり、椎の木の中にいた白い太い幼虫を、砂糖醤油で焼いて食べさせてくれたりしました。
機嫌がいい時は、縁側で尺八も吹きました。ある時は、公民館で公演していた旅役者を何人か家に招いてごちそうし、その結果、茶壷のお茶がごっそりなくなるということもありました。またある時は、行きずりの人を我が家に連れてきました。彼は、マンガを上手に書くので、子どもたちにとってはいいお兄さんでした。しばらく滞在して野良仕事を手伝っていましたが、いつの間にか姿が見えなくなりました。彼は何かわけのある人だったようです。
弱さも持っていた"おとうさん"でしたが、わたしは今でも尊敬しています。