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子供に手本を

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

 私は25歳のとき、イエズス会というカトリックの修道会に入会、2年間の修練期を終えて誓願を立てました。誓願というのは、簡単にいうと私有財産権を自発的に放棄し、司祭というカトリック独自の奉仕の道を歩みます、と神に誓約することです。

 さて神と人に仕えるためには、長くて厳しい勉学、たとえば、哲学、神学に励むことが必須です。その中間期に学校における2年間の教育実習があります。

 私は新しく広島に設立された本会の中学・高校で、2年間、教諭として中学一年生の3クラスの120名を教えることになりました。30歳の時です。

 赴任時、ドイツ人神父の校長は、私にこう言いました。先ず生徒たちを愛し、第一に、在校中はいつも生徒たちの傍にいなさい。そして気を配り、名前を覚えなさい。

 第二に、「学び、遊び、祈り」のけじめをつけ、授業は厳しく教え、また放課後の掃除などは厳しく監督しなさい。傍にいて愛情の眼差しで見守っていれば、生徒も先生を愛するようになります。問題はすぐ対処しなさい。重大なことでないかぎり、校長室に来る必要はない。担任の教諭として、二学期から宗教研究会という午後の自由な課外活動を始めることを念頭において、責任ある指導をしなさい。

 第三に、遊ぶときには、生徒たちと対等に仲良く遊び、午後の野球部の練習なども楽しくしなさい。この三か条でした。

 私はわずか2年間でしたが、校長から言われた三か条を忠実に実践しました。その結果かどうか分かりませんが、中学二年のクリスマスには、17名の生徒が洗礼を受けました。後に、高校一年の時には70名が受洗したと聞きました。わが人生最良の時期と今でも想います。