バチカンから遠い極東の日本、教皇メッセージは、見過されがちでしたが、幸い、かなり多くの日本人が、キリスト教に深い理解を示しており、教皇の説くグローバルな兄弟愛をあえて拒む人は、恐らく皆無です。もちろん、無宗教の方もおられますが、ほとんどの方が神仏に手を合わせ、祈る心を持ち合わせています。元旦、初詣の賑わいは、それを、なにより物語っています。とりわけ、戦中戦後、原爆、天災、原発事故などで、あらゆる辛酸をなめつくした昭和初期以前生まれの日本人は、この世のご利益、家内安全、商売繁盛どころか、なによりまず、全人類の共存共栄、世界平和を願い、その一刻も早い実現をひたすら祈らずにおれない深遠な心の持ち主であります。この崇高な心境と志は、兄弟愛実践に絶大な底力となり得るものと確信します。
「わたしは新しい掟をあなたに与える。互いに愛し合いなさい、私があなたたちを愛したように、あなたたちも互いに愛し合いなさい」(ヨハネ13・34)これは聖書の一節ですが、この兄弟愛が、あまねく実践されることを希ってやみません。