身近な植物の名前を覚えることは、私たちの生活を豊かにしてくれるように思う。名前を知らなければ、「いつもの花」、「ありふれた木」としか思わず、考え事をして通り過ぎてしまったかもしれない景色が、心を揺さぶる、意味のある風景に変わるからだ。花や木に関心を持ち、立ち止まって顔を近づけることで、美しさへの感動や、生命の力強さへの驚きなどが生まれてくる。それらの小さな気づきが、私たちの心を喜びや力で満たしていくのだ。注意してよく見れば、この世界は感動と驚きにあふれている。それに気づくことさえできれば、私たちはいつも満ち足りた気持ちで生きることができるだろう。
心豊かに生きるために、高いお金を払って芝居やコンサートに出かけたり、遠くの名所旧跡を旅したりする必要はない。道端に咲く小さな花や公園の木々の名前を覚え、それらに関心を持つだけでも、私たちの心は感動と驚きに震え、喜びや力で満たされるのだ。
心を豊かにしてくれるものは、いつでも私たちのすぐ近くにあって、私たちが気づくのを待っている。