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心新たに

今井 美沙子

今日の心の糧イメージ

 60歳頃までは、誕生日とかお正月に、心を改めるというふうで、毎日毎日は忙しく、心について深く考えることなく過ごしてきた。

 しかし、60歳頃、同じ年頃の友人知人が召されるにつけ、誕生日やお正月だけではなく、毎日、心あらたに生きなければならないと思うようになって来た。いつ、神さまに召されるかわからない。先日も御近所のご主人が家族の者が朝、起こしに行ったら亡くなっていた。そういう人を幾人も知っているので尚更、毎日心をあらためて神さまの元へ行けるようにしなければと思うのである。

 私は毎日「覚え書きノート」をつけていて、その日、反省し、神さまにおわびしなければいけないことは書きとめている。

 もし、私が朝になっても起きて来なくて、召された場合、家族の者が、前夜、私の書きとめた覚え書きノートを読んで、ちゃんと反省し、神さまにもおわびしていることを知ったら、悲しみの中にも救われるものがあるかもしれないと思うのである。

 「今日は自分が一番若くて、一番年をとった日、かけがえのない今日である」という自覚をもつなら、日常の中で出会う人たちに対し、やさしい気持ちになれるにちがいないと思っている。

 昨夜、スーパーに買い物に来ていた親子三人連れがいた。若いお母さんは赤ちゃんを抱き、あと3歳、2歳くらいの女の子であった。その上ふたりが、スーパーを出たあと、立ち止まって「失礼します。おじゃましました」と自動ドアに向かってお辞儀をしていた。お母さんに「お行儀よく育てられましたね」と声をかけると「ありがとうございます」と御礼をいった。私は昨夜の覚え書きノートに「あの幼子のように、いつかこの世から旅立つ時、『失礼します。おじゃましました』と感謝のことばをのべたい」と記した。