では、私にとって仕事とは何だろうか。私の仕事は詩を書くことである。詩の原稿料だけで、家族を養うことはできないから、仕事とは認められない、と入社試験の試験官からは言われてしまうかもしれない。それでも、詩の仕事とは、見えない存在に近づく仕事である、と敢えて答えたいと思う。詩は言葉で作られて、さらにその先へ進むものだ。言語の奥から立ち上がる、本来、言葉では表現し得ない場所が、詩人の目的地なのだ。そこへ近づくまでの長い時間が、詩人の仕事時間なのである。聴こえない声に耳を傾け、心を澄ませていく過程は、静かに祈ることと似ているかもしれない。
数えきれない人々の仕事、人々の祈りを乗せて、世界は動いていく。その音を書きつけるのもまた、詩人の仕事だと思っている。