父が運転しやすいように、オートマティックの新車にしましたが、すぐにスリキズがたくさんつき、アルミ缶回収のために車の中の匂いと汚れがなかなか取れませんでした。
あるときは、フォークダンスで若い女性ボランティアと手を取って踊ったことを嬉しそうに母に語っていました。
でも、80近くなって足もともおぼつかなくなった父が車を運転することに不安で、弟からは父の車の運転をやめさせろってよくいわれました。わたしとしては、父から車を取り上げることは、父の生きがいを奪ってしまうのがしのびなくて、なかなか直接言えませんでした。
そんなある日、ボランティア活動から帰ってきた父は、いつもと違い元気がなかったので、わけを聞いたところ、車いす介助のボランティアをしている自分にもうひとり若いボランティアがついたというのです。つまり、介助する側から介助される側への変化に父はショックを受けたようなのです。
それを機会に、父はきっぱりと送迎や介助のボランティアをやめました。そして、車の運転も潔くやめてしまいました。私たち子どもは正直ほっとした気持ちでした。
そして父は「喜んで世話になる」生き方への転換をしたのです。車いすに乗りながら、押してくれるボランティアに車いすの扱い方を教えたりするようになったのです。