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私とロザリオ

今井 美沙子

今日の心の糧イメージ

 今、私の手もとに7種類のロザリオがある。

 従姉のシスターが聖地巡礼に行った時のおみやげ、長崎の叔母がやはり聖地巡礼に行った時のおみやげ・・・、これまでおみやげに20本ほどいただいたが、ほとんど他人さまへのプレゼントにしてしまった。

 私がどうしても手放せなくて、いつも手もとに置いてあるロザリオが3本ある。

 ひとつは韓国人の申マリアさんからのプレゼントで、韓国人のブラザー手作りの木製のロザリオ。ふたつ目は雑誌の取材で岐阜県に伺った時、同じカトリックであることで喜び合い、後に、じゅず玉で作って送ってくださった、Mさんのロザリオ。三つ目は、数年前五島へ帰った時に熱心な信者のNさんよりいただいた珍しいロザリオ。それは、『司祭の聖化のための十字架の道行き』のために使う特別のロザリオである。長い長いお祈りなので、なかなかNさんのご期待に応えられていないことを申し訳なく思う。

 このロザリオには16個のイエズスさまの苦しみのお姿が金属に刻まれているため、これを持ち帰る際、飛行場での手荷物検査でブザーが鳴り、大変戸惑った。念のためと手荷物の中を調べられ、やっとブザーの原因が金属の多いロザリオと判明した時、ホッとした。

 係員の方がロザリオを目にした時、ハッと顔色を変え、大変申し訳なさそうな顔をしたことを覚えている。

 ロザリオといえば、現在85歳になる五島の従兄に、もう80年近く使っているという黒い玉のロザリオを見せてもらった。

 初聖体の時にシスターが手で作ってプレゼントしてくれたそうで、一度も鎖が切れたことがないという丈夫なロザリオである。

 黒い玉は従兄の祈りが指先でみがかれ、尊い光を発していた。

 「わあー、こげんロザリオば唱えたとね!」と私は感嘆の声を挙げた。