

人生において大切なことは聖書の中でイエスが語っているように、その人固有のタレントを生きることでしょう。世界に一人の自分の賜物を見出し、自分らしく生きることは、天の望みと一致します。
私が詩人の活動をして30年近くになります。若い頃は試行錯誤の日々でしたが、ふり返ると自信を持てない時期でも私の本質を見てくれていた同志がおり、勇気をいただいたものです。
その一人がシンガーソングライターのNさんです。彼女は20年前までは東京を拠点にしており、私が詩を朗読する舞台でもキーボード演奏をしてくれて、不安げだった私を度々励ましてくれました。
2011年の東日本大震災の後、彼女は被災地の人々と交流、福島県南相馬市に移住しました。現地の子供や若者たちに歌やダンスを教え、共に表現することで人々が繋がってゆくというプロジェクトを開始、その活動は現在も続いています。
先日は久々に都内でライブがありました。南相馬の家に帰る望みを果たせず亡くなった夫を想う女性のエピソードが、歌われていました。心のこもった彼女の歌に、思わず涙したのでした。
ライブでは教え子の皆さんも歌い、踊ります。15年前の震災の悲劇を越え、希望を見つけて生きる若い力に、躍動するエネルギーを感じ、彼女の蒔き続けた種が一本の木のように根を張って育ち、枝葉を広げ、それぞれの花を咲かせていることを実感しました。
帰り道でふと、かつて「君は素晴らしい」と伝えてくれた彼女のメッセージが記憶に甦り、その声援が私の心の根っこになっていたことに気づきました。彼女の励ましが、自分を信じる力を築いてくれたことを思いながら、私は夜に明かりを灯す駅へと歩いたのでした。