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隣人愛

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

 マザーテレサが「愛の反対は、無関心」と言った言葉を、この頃よく思い出します。子どもへの虐待の一番過酷なのが、ネグレクト(無視すること)であるということと重なり、心に深くとどめています。

 ずいぶん昔、私が小学生だった時のことです。いつも汚れた格好をして鼻水を出している同級生がいて、みんなから馬鹿にされ、のけ者にされていました。

 あるとき席替えがあって、彼が私の席の隣になり、鉛筆を忘れていることに気がついて1本貸してあげたことがあります。何気なく、機械的にした行動でしたが、彼がとても喜んでくれて、笑って「ありがとう」と言ったことを覚えています。

 おそらくそのときの一つの行為からだったとは思いますが、学期末の通知表に、「松浦君は、人にとても親切にしているので、それを今後も続けてください」と担任の先生が書いてくださったのでした。
 大勢の生徒がクラスにいる中で、私を見つめて褒めてくれることに、私はとてもびっくりし、たいへん嬉しくなって、ずっとそのことを覚えていました。

 愛することを、ついつい行動や色々なことばで表すことを私達は考えてしまいがちです。けれども、彼のうれしそうな顔と先生のその文章を思い出すたびに、人から意識され見つめられることの持っている凄さを思い出すのです。

 人を愛する、隣人を愛することは、根本には人を意識し見つめることから始まることを、私は心にとどめています。

 共に生きているという心こそが、人を愛していることにつながると考えると、数々の暴挙を見聞きしては失望している私に、再び関わる力を与えてくれます。