

イエスさまが送ってくださる小さな幸せは、至るところに散りばめられています。
今日思い出したのは、2年前の母の検査入院のことでした。一日目の検査を終え、結果を母と一緒に聞きました。それは重く、苦しいものでした。癌が発見され、かなり進行していたのです。一人になったとき、私は泣きました。前日、高校時代の友人が「みんなで美術館に行った後、ランチをするよ」というので一緒に行く約束をしたばかりでした。病気が深刻だとは想像もしていなかったので、母にもそう話していました。
医者の話を聞いた後、母が「私のことはいったん忘れて明日は行きなさいね」と言います。「もう、そんな気持ちになれない」と言うと「行きなさい。せっかくの楽しい日なんだから」と強く勧めます。
私は母の冷静さに驚きました。病気が重いとわかった直後だというのに自分のことよりも、娘に楽しい時を過ごしてほしいと願っているのです。その愛情の強さに負けて私は友人に会いに行きました。駅に着くと三人が、電線に並ぶ雀のように肩をくっつけあって息を凝らし、私を待っているのが見えました。中には20年ぶりの友もいます。改札を出ると、ワーッという歓声に包まれて全身に喜びが広がりました。それは悲しみを吹き飛ばしました。電車の中では一人ずつ私の横に来て近況を話し、笑いあってはまた次の友がそばに来る、という風でした。彼女たちの思いの細やかさに驚きました。
それから母が亡くなるまでの数ヶ月間、帰るたびに友だちの優しい気持ちに助けられ、何度も何度も力づけられました。
イエスさまがくださる幸せはいつも最高のものです。