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はじめましょう

服部 剛

今日の心の糧イメージ

 ダウン症をもつ13歳の息子は特別支援の中学校に通い、放課後等デイサービスにも通っています。どちらの先生方も手のかかる彼を大切に導いてくださり、私と妻も支えられています。

 日が暮れる頃、彼がデイサービスの送迎バスで家に帰ってきます。
 私は執筆などの仕事を終え、彼を風呂に入れて仕事から帰宅する妻を待ちます。妻はすぐ台所に立って夕食を作り、私は彼の食事介助をし、その後は自分の食事を済ませます。やがて、テレビを観ている彼が自分で部屋の電気のスイッチを消すと、就寝の合図です。私は彼のトイレ介助と着替えを済ませ、寝かしつけに入ります。

 このように、息子中心の慌ただしい日々は過ぎていきます。そのため日曜日はとにかく彼の休息が優先。午前のミサに与った後は家でゆっくり過ごすのが常で、特別に外出することはありません。

 家族で余暇を楽しむ外出をしなかった理由には、例えば知的障がいのある息子が「あー、うー」と声が出てしまうことや、食事時の問題がありました。というのは、彼が食べられる食事は離乳食中期の形状なため、外食は難しかったのです。

 しかし先日、妻の「フードコートならば大丈夫かもしれない」という発案で、日曜日、とある街のショッピングモールに行きました。ファミリーレストランよりもフードコートは賑やかで、息子が声を出してもさほど目立ちません。私と妻で連携をとりながら、家から持参した彼の食事の介助をしつつ、互いに注文した食事を摂り、問題なく食べることができました。食後は店内をのびのびと散歩して、彼もとても楽しそうでした。

 この体験はささやかなことですが、私たちには新鮮でした。今年は家族で外出することに楽しくチャレンジしよう、と思っています。