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はじめましょう

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 新しい年を迎え、気も引き締まる思いで、何かをはじめようとする人もいるでしょう。しかし、どんなことも長く続けることが難しく、いつの間にかはじめたことさえ忘れてしまうこともあります。

 私は、特に修道会に入会してから、共同生活を大切にし、その関わりの中で、教会暦に沿った生活やメンバーの一人ひとりを大切にすることを学んできました。一番大切なことは心の姿勢、共同体への配慮だと思いますが、時には心を養うために習慣や形から始めることもあると思います。典礼上で使うきらびやかな祭具や祭服等も、本来は神様への畏敬の念を表すためであるように、節度ある礼儀作法や生活習慣も、それを行う人自身の満足を満たすよりも、人々への尊敬を示すものであるはずです。

 何かを行う時、あるいははじめる時、その動機や根拠を見極めておくことがとても大切だと思います。何のためにはじめ、行うのか、自分でしっかりと自覚することが長続きの秘訣です。

 そして、もう一つ、志をともにする誰かと一緒にはじめることではないでしょうか。

 時代の変化とともに、修道院でも違った生活様式を取り入れ、いろいろなことが個々人に任せられたり、簡略化されたり、それまで大切にされてきた習慣そのものをとりやめたりすることもありました。たくさんの時間や労力を費やしてきたような行事等も、見直されました。

 もちろん、時に適った見直しは大切です。しかし、何が大切なのか、行動に移し、はじめる時、共に歩む人、共同体があれば大きな力になります。一人ではとても続かないことも、共にいる人がいれば、乗り越えることができます。そして、それは、共にいる人々への愛へとつながると私は実感しています。