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愛でる

遠山 満 神父

今日の心の糧イメージ

 私が大学を卒業して青年海外協力隊に参加し、海外に派遣される直前、私の叔母の一人が、「寂しくなったら月を見なさい」とアドバイスしてくれました。「月は、地球のどこから見ても同じ形をしているから」と言いました。また、夜になると寂しさが増すから、そのように言ってくれたのだとも思っています。生憎、任地では、それほど月を愛でることもなく、帰国してしまいました。今思えば任地の月をもう少し愛でておけば良かったかなと思っています。

 ところで、百年前、ポルトガルのファティマで、マリア様の出現を受けた3人の牧童たちは、夕暮れから日没にかけての時を好み、夜空に現れた星の数えあいをしながら、星を聖人たちのランプ、月をマリア様のランプ、太陽をイエス様のランプと呼んでいたそうです。彼らが、ポルトガルの日中の強い日差しに苦しんでいた所為か、彼らのお気に入りは、柔らかい光を放つ、マリア様のランプだったそうです。

 私たちも、暗がりから明るい場所に移る時、突然強い光に遭うと眩惑されてしまい立っているのも困難になります。柔らかい光を放つものから、徐々に慣れていきたいと誰もが思っていることでしょう。と同時に私たちは、柔らかい光を放つ月は、太陽の光を反射していることを知っています。ファティマの牧童たちも、光の源は、太陽、つまりイエス様だと知っていたはずです。

 正義の太陽であるイエス様の光を受けて、柔らかい光を放って下さるマリア様、あなたが、まだイエス様のことをよく知らない日本の兄弟姉妹たちを照らし、その光源であるイエス様へと導いてくださいますように。聖母月の月を愛でながら、そのように祈りたいと思います。