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ひらめき

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 「ひらめき」と聞いて、わたしが思い起こす聖書の個所があります。それは、次の個所です。

「そのとき、イエスは聖霊によって喜びにあふれて言われた。『天地の主である父よ、あなたをほめたたえます。これらのことを知恵ある者や賢い者には隠して、幼子のような者にお示しになりました。そうです、父よ、これは御心に適うことでした。』」(ルカ10・21)

 イエスさまにとって、聖霊によって喜びにあふれた瞬間こそが、「ひらめき」なのではないか、と私は思っています。喜びのうちにイエスさまは、父である神さまをたたえて言われます。

 「これらのことを...幼子のような者にお示しになりました」と。別の聖書の個所で、イエスさまは、このようにおっしゃいます。「はっきり言っておく。子どものように神の国を受け入れる人でなければ、決してそこに入ることはできない。」(マルコ10・15)イエスさまが伝える教えの神秘は、子どものように素直に受け入れることがなければ、理解したり、実践したりすることが難しいのでしょう。

 子どもたちは、何かにつながることの天才だと私は思っています。大人になるにつれて、初対面の人と出会うのが困難になることがありますが、子どもたちは、初対面の相手ともすぐに仲良くなって、一緒に遊び始めることができます。自分と同じ共通点を見出したり、その共通点を喜び合ったり、人と人とがつながることをたやすく果たしてしまいます。

 歳を重ねるにしたがって、私たちの心は固くなりがちです。でも、イエスさまの「ひらめき」によって表現された幼子のような心、素直に神さまを受け入れる心、他者とつながろうとする心、そして、困っている人たちに手を差し伸べようとする心を忘れずにいたいと思います。