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いつくしみ

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

 「いつくしみ」とは、辞書をみますと、「愛すること」「可愛がること」「大切にすること」とあります。その語源は、名字の斎藤の斎という漢字を書いた「斎く」という動詞で、その意味は、きわめて崇高で「心身のけがれを浄めて神に仕える。あがめまつる」というものです。「楽しみ」「苦しみ」と表現するように「いつくしみ」も、心の状態であり、ここでは「何かを大事に世話する心の状態」を表しています。大事なものであればあるほど手放さず、いつまでも、いつまでも、永遠に持ち続けたいと願望しますが、「いつくしみ」についても、これと全く同じことが言えると思います。確かに、だれもが、いつまでも、互いに持ち続けたいと願う崇高な心「いつくしみ」であります。

 「いつくしみ」の真髄は「愛」であり、表裏一体の「いつくしみ」と「愛」であります。

 「いつくしみ」や「愛」は、人権とともに、人間にとって必要不可欠の理念であり、最高の人間像、理想的人間像に欠くことのできない最も崇高な心情であります。あまねく、人の心にみなぎり、とこしえに輝き続けて欲しい「いつくしみ」や「愛」であります。

 しかし、その実現は、そう簡単ではありません。怠け心のせいか、心の奥底に「いつくしみ」の気持ちがありながらも、それを発揮するにはかなりの努力や心がけ、それに強い決意と勇気が要求されると言えそうです。より多くの人々に期待したい優しい心「いつくしみ」ですが、「いつくしみ」は、その根底に堅固な信念や深い信仰、真摯な祈りがあったからこそ、万全、健やかに育まれきたと確信して止まないところであります。