懐かしく思い出されるのは、仕事の関係で、6年間住みなれていた、南欧スペインの首都・マドリードの真夏の昼の静けさであります。
標高655メートルの高原にあるマドリードですが、真夏になると、多くの市民は郊外の別荘に避暑し、マドリードの街はヒッソリとしてしまいます。その時期、街をうろついているのは、かつてそうであったように、今も恐らく、日本人観光客ではなかろうかと思ったりもします。
だいたい、シエスタ(昼寝)好きのスペイン人、昼食を自宅でとり、その後ちょっとシエスタといった生活、今は少なくなったと思われますが、日本人には望むべくもない、スペインならではの余裕綽々の生活習慣であります。このシエスタによって、マドリードの昼の静けさは一層深まり、静寂の街となるのであります。
beautifulな伝統として、このシエスタが末長く受け継がれていくことを願いたいものです。かつては、昼休みに店は堂々の閉店、夕方から午後の店開きとなったものですが、これも、遠い昔話となってしまったようです。すべてがスピードアップ、スローなスペインテンポは存在し得なくなったようです。
ところで、これは、メキシコ滞在中の体験談ですが、真夏のある日、メキシコの街をテクテク調子よく歩いていたのですが、慣れない気候のため気分が悪くなり、ダウン!メキシコではメキシコ風の歩き方があること、つまり、その土地その土地に合った歩き方があることを知るとともに、現地の住民が、なぜゆっくりノロノロと歩くのかも悟った次第であります。
「郷に入っては郷に従え」であります。