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共にある

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

 私はよく歌を口ずさんでいます。賛美歌が多いのですが、童謡や昔の流行歌もハミングしています。「いつも歌っているね」と親友も笑います。本当にいつも心に浮かぶ歌を自然に歌っているのです。

 今回、「共にある」のテーマをみた瞬間、次の歌が心に浮かびました。

 「主は今、生きておられる。我が内におられる。全ては主のみ手にあり、今日も生きよう主がおられる。」

 この歌を歌うと、夫とのことが思い出されて胸が熱くなります。

 4人の子育てもほぼ終わり、還暦の記念に受けた検診で夫の癌が見つかった時のショックは忘れられません。大地が音を立てて崩れ落ち、死の影に怯える日々となりました。夫婦は互いに根も枝も絡ませて立つ木のようです。その片方が徐々に衰えてゆくのを見守るしかないのは、生身を半分もぎ取られるような苦しみでした。死の破壊力の前にこの世のものは何一つ力のないことを痛感しました。

 そんな時、神父様が言われました。「祈りなさい。イエスさまがぐんと近くなりますよ」

 実際、死の恐怖と絶望の中にいても、二人で心を合わせて祈れば必ず心が安らぎ、苦しみに耐える力をいただくことを体験しました。不安で倒れそうになる私たちを支え、柔らかい光の内に死の暗闇の恐怖から守って下さるイエスさまは、この時、まさに天から差し込む一条の光、救いの命綱でした。夫はこの命綱にすがり、全てを委ね、微笑みながら天に召されました。

 夫が天に召されて27年・・・。一人では生きてゆけないと恐れていた私が、今、何とも言えない平安で明るい暖かい気持ちを味わいながら、皆にも助けられて何とか元気に生きています。イエスさまが共にいて下さるからだと感謝で一杯です。