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わたしの支え

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

 人という文字は、2人の人が支え合っている形になっています。

 聖書の創世記の2章には、主なる神が言われた言葉として、こういうのがあります。「人は独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう」という言葉です。これは、人から女と男を造られたという言葉に繋がっていきます。

 普通、結婚について言われた言葉となっていますが、もっと広く解釈して、人の幸せなありかた、生き方というのは、関わり合い、支え合う関係の中でのみ実現するのだという真理を指し示したものではないでしょうか。

 わたしは大家族の中で生まれ育ちましたが、両親が早く他界したので、末っ子のわたしは、いつも孤独を感じていました。

 その時、子ども向きの聖書の本に出会い、夢中になって読んだことで、キリスト教の神さまを信じ、お祈りをするようになりました。そのお蔭で、わたしの支えは神さまだと言うことができましたので、孤独は感じませんでした。しかし、淋しさは感じていました。学校へ行っても、親しい友だちがいなかったからです。こういう状態が18歳の卒業まで続きました。

 卒業して、直ぐ故郷を離れ、兄を頼って信州に向いました。そこで教会に通うようになって、男性や女性の友だちができました。そして、彼らといろいろ話しているうちに、生きる希望や勇気が湧いてきました。教会に行って、お祈りするのも楽しかったが、ミサが終わった後、教会に残って、友人とおしゃべりするのが面白くなりました。何しろ、信州人は理屈っぽく、議論好きなので、次第にわたしの性分に合っているのが分かりました。

 ともあれ、神さまと教会と信仰の友、それがわたしの人生の支えでした。