たえず1歩前に

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

 だいぶ前のことです。新聞に、ある商社が、普通の社員を2年間だけ会社の役員として抜擢し、働いてもらう制度を持っていることが紹介されていました。役員会にも出席し、専門のテーマにも取り組み、そして2年経ったらもとの職場に復帰するというものでした。

 そしてその記事は、もとの職場に帰った人が、今までとは違った視点で物事を見、感じることができるようになったと指摘していました。それは、役員会の中で全体を見る感性が養われ、自分の立ち位置が見えてくること、そして、自分のそれまで何の脈絡も感じなかった仕事が、大切な会社の1部であることを実感し、会社への愛着と会社が発展することを意識するようになったということでした。

 新年の想いもこれに似たところがあります。いつも目の前のことに精一杯生きている中で、あれも失敗したなあ、これもうまくいかなかったなあとがっかりしている思いが積み重なったとき、でもこの1年を見通す目で考えると、結構自分のやりたいことが実現できたなーと、新年ならではの充実感と、次の1歩へのやる気がわき上がっていきます。

 また、いろいろ新しく始めたことを振り返ると、あの人との出会いが、新たな1歩を踏み出す機会を与えてくれたなあと、自分だけの世界に閉じこもらなかったことを有り難く感謝し、人々や出来事との出会いの大切さを実感しています。

 そして全体を見る目、人生を俯瞰する目によって、今の自分でいいのだと、あまり変化がなかった1年であったとしても、その中に価値をまた見いだすわけです。

 新年の持っている豊かさは、ペースを変化させ、視点を動かし、未来の可能性を考える機会となります。

たえず1歩前に

中井 俊已

今日の心の糧イメージ

 今日、目覚めたときに、どんな気持ちだったでしょうか?

 「よし、今日もやるぞ!」という明るい気持ちがわいてきたでしょうか?それとも、「今日もまた仕事か」「今日は楽しいことがないな」などと、ブルーな気持ちになったのでしょうか?

 朝起きたときに、前向きな気持ちになれる人は、たぶん今日1日に何か目標をもっている人ではないかと思います。

 かなえたい夢があって、そのために具体的な目標があり、目標を達成するために今日すべきことが明確になっているのです。それらは、人から課せられたものではなく、自ら定めたものでしょう。ですから、やる気もでてくるし、ワクワク感もあるのです。今日、やるべきことをやれば、また1歩夢に近づいていけるという希望があり、充実感も生まれます。

 けれども、中には、若い頃なら夢をもってワクワクすることもあったけれど、この年になるとそんな気持ちにはなれない、と言う方がおられるかもしれません。

 しかし、私たちは高齢になっても、どのような状況でも、気持ち次第で夢はもてるのです。

 100歳の詩人柴田トヨさんは、「夢」という詩に、ご自分の夢を生き生きと書いておられました。日野原重明医師が103歳の時の講演を聴いたことがありますが、「夢に向かって、前進、前進、前進!」と私たちを鼓舞してくださいました。夢はいくつになっても持てるし、夢に向かって前進できるのです。

 私にも叶えたい夢がいくつかあります。その1番大きな夢は、天国に行きたいという夢です。

 私たちは誰でも、天国に行くことは可能です。神と共に歩めば、今日1日は天国に向かう歩みとなります。神と一緒なら、毎日、1歩1歩前に進んでいけるのです。


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