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わたしのクリスマス

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

私が司祭になってすぐの仕事は、養護施設のシスター達の霊的な指導者となることでした。

 ある時シスターから、「クリスマスイブに子供達自由参加の深夜ミサの司式、お願いできますか?」と依頼がありました。私は、受諾し、養護施設の子供達のために、ほかの仕事を午後や夕方に回し、万難を排して子供にも分かりやすいようにミサ準備をするようにしました。

 さてミサの時間となりました。大きな子供達が後ろの方に座って待っていました。そして、幼稚園の子供や小学校の低学年の子供達が前の方にいました。子供達の目は皆、らんらんとしています。それは、1年に1度、誰からもしかられず、夜中に起きていられるからです。そうです。子供達にとってクリスマスは特別な日なのです。

 ところが、しばらく経つと、退屈し始めたのか、疲れたのか、小さな子供達が、睡魔に襲われ始め、船をこぎ始めました。眠くなった目をしっかりとまばたきで押さえようとする子供もいます。上を向いて口を開いて眠っている子供もいます。小さな子供には、深夜起きているのは無理だったようです。

 それで、次の日のクリスマスのお祝い会の時、昨日眠っていた子供達に聞きました。「昨日眠くて大変だったね。」ところが子供達は「ううん、眠いのつらかったけど楽しかったよ。」と、皆楽しそうに眠気と戦う様子を披露してくれたのです。

 クリスマス、1年の中で自由に礼拝式に出席し、眠っていたとしても、その特別さが感じられる時を、一緒に過ごすことができた素晴らしい体験。そして、この特別さを教えてくれた子供達への感謝が、今でも私の心に深く刻まれています。