教室の風景。ゼミの教授が語っている。「家にスタジオとアトリエがあって、母は家で製作をしていました。子どもたちが帰ってくれば、仕事をしながらご飯を作ってくれたりして、母はすごかったと思います」。次は教授自身の子育ての話。どうやら女性の仕事と家庭の両立がテーマらしい。何と私も登場する。撮影されていることを知らずに、洗濯物を干したり、エプロンのまま原稿の続きを書いたりしている。エプロンのひもがねじれっぱなしだ。料理、炒めもの。と、突然全速力で玄関に走った。夫が帰って来たのだ。深夜。原稿を書いているかと思いきや、広辞苑を枕に床で寝ている。
そして洗濯機のスイッチを押す私の指の映像に重なって、長女の指が自分の洗濯機のスイッチを押す場面になった。彼女も自分の親のように、そして現代の多くの女性たちのように、家庭を守りながら仕事をしていく、という決意に見える。
子どもの成長ぶりに、私は感動して涙ぐんだ。でも、自分自身については反省点ばかりである。人のありのままを映す映像は厳しい。どんな批判の言葉より私を打ちのめす、この美しい作品は私にとって宝物であった。