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つながり

土屋 至

今日の心の糧イメージ

集団のなかに共同体意識を育てるために「シークレット・フレンド」という手法がある。学校のクラスの初めてのホームルームのときや、何かのプロジェクトのためのチームが始まるときなどに行うと効果的である。

グループのメンバーのなかで「隠れた友だち(シークレット・フレンド)」をきめ、その友だちにわからないように、困っているときに陰で助けてあげたり、落ち込んでいるときにそれとなく励ましを与えたりする。メンバー全員が誰か別の人を支えることになっていて、支える相手には誰が自分を支えているのかは分からないように、くじ引きで相手を決める。

そしてそのクラスの学年末やプロジェクトの打ち上げの時に、誰が誰を支えていたのかを発表する。「やっぱりあなただったのね。わかっていたよ」というのから「どこを支えていてくれたの?」と全く気づかれないものも出てくる。そういわれてはじめて「そういえばあの時・・・」というように気づかせるのが一番上手なシークレット・フレンドということになる。それ以降その二人は、シークレットではない友だちになることはいうまでもない。自分が支えた人と自分が支えられた人の2人の友人を同時に作ることができるというわけだ。

誰かが誰かを支えあっているという関係を作り出せたら、その集団の団結力はいやおうなくたかまっていく。自分がシークレットフレンドであることをはぐらかすために、わざと別の人を支えたりすることが生まれてもいい。

1対1ではなく、1対多数あるいは多数対多数でもいいだろう。多数であればあるほど、最後の発表の時の感激は薄れるかもしれないが、考えてみたらすべての人が、すべての人の、シークレットフレンドになれたら最高であると思う。