アイヌの人々の中でも、阿寒湖温泉のコタン(村)に暮らす秋辺さんと夫は意気投合しました。会食をした時、秋辺さんからアイヌの言葉を教わりました。「イランカラプテ」です。「こんにちは」という意味なのですが、その奥に、あなたの心にそっと触れさせてください。そんな謙虚な気持ちが込められた挨拶の言葉なのだそうです。
「素晴らしい。これこそアイヌの世界観があらわれた挨拶だ。秋辺さん、一緒にイランカラプテの歌を作ろうよ」
秋辺さんと夫は電話で、ファックスで、メールで何度となくやり取りをしました。
昨年の夏、「イランカラプテ~君に逢えてよかった」作詞・秋辺デボと新井満、作曲・新井満が完成しました。北海道へやってくる旅人を暖かく迎えるこんな歌です。
遠い町からはるばると よく来てくれたね旅人よ
ここは森と湖の大地
鳥は歌い 風は大空を吹き渡る
イランカラプテ イランカラプテ
君に逢えてよかった 今日はいい日だ
私たちはなぜ北海道へ移住したのでしょうか。それは、アイヌの人々に出会い、一緒に「イランカラプテ」の歌を作らせようとする神様のお計らいだったのかもしれないと、ふと思うのです。