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繰り返し

植村 高雄

今日の心の糧イメージ

いつの頃か、地球に小さな生命が誕生し、その小さな遺伝子が繰り返し不思議な営みをして、沢山の動植物や素敵な人間を生み出してきました。現在も人は、色々の営みを繰り返して生き続けています。この「繰り返し現象」は人間ばかりでなく森の木々の四季や大海原の波のように「地球の生命体の証」のようです。

さて「繰り返し現象」には実に深い意味があるようで、子供の学習、武道の修行、歴史上の大戦争もありますが、私がいつも不思議に思いますのが「人間の愛の世界」です。

ギリシャ神話、日本の神話、あちこちの古くからの民話、美しい愛もあれば、暗く陰湿な愛の世界もあります。旧約聖書にも人々を涙と感動にさそう愛の世界もあれば、おぞましく不気味な愛の世界もあり、文学、絵画、音楽の世界でも大きなテーマが人間の愛の世界です。

スコットペックという心理学者は、名作「愛と心理療法」の中で「愛は訓練なり」と論説を展開し、人の愛は生まれながら、そう簡単に愛を身につけられるものではなく、日々の訓練によってしか完成されないと断言しています。

学校を卒業し社会に飛び込んだ若者は、職場、交友関連で今まで遭遇したことのないタイプの大人と出会い、混乱と自信喪失に陥りますが、職場で不信感、恥辱、疑惑、劣等感、孤立感、絶望感を味わっても、それは愛の訓練だと思い、乗り越える時、その体験の蓄積は若者を強く逞しく成長させます。

「地球の小さな生命が人類になった」ように素晴らしい愛の世界が自分のものとなるようです。「愛は訓練なり」という言葉は「愛そのものである全知全能の神様」からの贈り物のようです。