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私たちのお母さん

小林 陽子

今日の心の糧イメージ

「神の母聖マリア」と祈るわたし達のマリアさまの絵姿は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」やラファエロの「マドンナ」あるいは聖堂のご像・・・おしなべて気品のある、このうえなく美しく気高い貴婦人のようです。

ところが最近、数あるイエス・キリスト伝の中の一冊、「ナツエラットの男」を読んでびっくり仰天、これまでの、西洋的なイエスさまマリアさまのイメージがひっくり返されました。

イエスさまは、色黒でモジャモジャ頭の大柄な方。

お説教をなさるときは威厳に満ちておられますが、ふだんは豪放磊落、大声で喋りまくるガッツのある青年、でも病気の人、貧しい人にはめっぽう優しくいとおしんでくださる。

一方、この「ナツエラット」のマリアさまも、世話好きで気取りのない大工のおかみさん、ほがらかで楽しい、何でも困ったときに相談にのってもらえる肝っ玉かあさん、なのです。イエスさまが水をブドウ酒に変えた有名なエピソード、カナの婚礼の祝宴でも、

「ちょっと、ブドウ酒が足りなくなったんだよ。なんとかならないと息子のイエスさまに訴えます。

「わたしの時はまだきていない」と、つき放すようなイエスさまの答えにもめげず、召使い達に「この人の言う通りにしてね」と言われたのはなんという絶対の信頼、でしょう。

こんなときにもちゃんと裏方を仕切っていらしたのです。みんなのおかあさん、マリアさまは。

だいたい、イエスさまは、父なる神さまに「アッバ、父よ」と呼びかけていらっしゃる。お父さま、でなく「父ちゃん」という感じなのですね。

いつもわたしの傍にいて、息づかいが聞こえるような・・。