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いただく命

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

薬膳に興味が湧き、レシピ本や基礎的な漢方の本を読みました。簡単なものだけでも実行してみると、意外なほど直接、体が反応することが分かりました。

たとえば、ナツメという木の実は、中国では1日に3個食べると年を取らないと言われるほど滋養に効果があるそうです。シナモンは毛細血管に働きかけて血のめぐりを良くし、クコの実にも高い滋養効果があります。そこで私は、疲れ気味のとき、ナツメとクコの実を牛乳に入れ、シナモンを振ってから電子レンジで加熱して「簡単薬膳ドリンク」を作ってみました。木の実の甘味が出て味が濃くなり、シナモンの香りがリラックスさせてくれました。スタミナ不足のときは、シナモンの変わりにすりゴマを入れると、おなかがいっぱいになって力が出てきます。

これらは私が本をヒントに考えた「なんちゃって薬膳」ですが、それでも体は十分満足し、芯から暖まって元気を取り戻してくれるのです。

宮沢賢治は食事について、私たちは動物だけでなく植物からも命をいただいていると書いています。ベジタリアンは動物を殺さないから・・と思われがちですが、他の生き物の命をいただいていることにおいては、肉食も菜食も変わりません。肉にも、筋肉を作ったり体を温める作用があるので、油やカロリーを気にして食べないのは良くない、という本もたくさん読みました。薬膳は効果に着目していますが、本を読むうちに、そうした効果は命の力なのだと実感するようになりました。

すべての食材に命が宿っており、それをいただくことで私たちも命をいただいているのです。その食事をくださる神様に感謝するとき、私の糧となってくれた命たちにも、アリガトウと言わずにはいられないのです。