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祈りの書き初め

小川 靖忠 神父

今日の心の糧イメージ

「1年の計は元旦にあり。」なんと、懐かしい響きを覚える。物事は始めにしっかりとした計画をもって当たれという意であろう。

それにしても、日本人は「標語」を掲げるのが好きな民族である。交通安全標語、事あるごとに掲げる目標、特に小学校の校舎に掲げられる「強く、元気に、あいさつのできる子」等、よく目にする光景である。

ある年の初め、ある教会を訪ねたことがあった。

聖堂に入ってびっくり。「あけましておめでとうございます」という垂れ幕が目に入った。正面祭壇の壁面に大々的に書かれていて少々違和感を覚えた記憶がある。気持ちはわかるが、・・。

今年も新しい年を迎えた。祭壇に垂れるのは「幕」ではなく、深く「頭」を垂れたい。過ぎた1年を感謝するとともに、新しい年の1日1日が、どのような日になろうとも、自分にとって「いい日」であることを信じつつ。「無病息災」であることに越したことはない。でも、現実的且つ具体的な願いと決意を捧げて頭を垂れたい。

子どもは、いつも楽しい、嬉しいことを追及している。正月はお年玉をいただくのが嬉しかった。あの子ども時代にある「追及心」が大人になると退化してしまう。さびしいことである。しかし、なくなったことを嘆くより、新たに展開されていく目の前の出来事に進んで向き合おう。必ずそこには、成長した新しい自分がある。

さあ、今年の祈りの「書き初め」が決まった。沈黙のうちに絶えず見守ってくださる神を感じながら、よーい、どん!

神に感謝。