私はどうかというと、その話をすっかり信じていた。当時私は中学生だったが、父や友人がウサギのダンスを見ることができて幸せだと思った。もしかすると、ウサギたちは空中に何かがいて、偶然立ち上がっていたのかも知れないが、やはり私は、ウサギのダンスだったのだと信じている。
父はとてもユーモアのある人で、弟と私が幼い頃は、毎晩、父が話してくれる民話を聞きながら、眠りについた。父の民話は父自身も子どもの頃に、聞いた話なので、毎晩、自分流にアレンジして話してくれた。弟は「もう1回」などと言うので、父も大変だったと思う。
ウサギのダンスを見たという父、その父が、子ども時代に聞いた話を、今度は自分の子どもへの語り部となって話してくれた父の影響は、思わぬところで芽を出した。
私が『聖書』を読むようになったとき、今度は神さまが語り部になってくださったかのように、『聖書物語』をおおらかに楽しむことができるからである。