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おおらかに

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

今から15年前、私は後輩達を養成する合宿所、栃木県の那須高原の知的障害者の施設内にあった「ガリラヤの家」に赴任しました。

人よりも牛の方が多い、自然豊かな地で、私はある決心をしました。この自然を、若者の心にどう位置づけるかということです。

第1に、大声で笑うこと。

先輩の神父が、映画が好きで、近所の映画館で大声で笑っていたところ、先輩を知らない人たちが、あの大声ゆえに親しまれていたことにヒントを得たのです。「大声で笑う人に悪人はいない」という基本的な人間関係の雰囲気が、その閉鎖的な合宿所に広がるようにとの望みからでした。

第2に、個人的な話でも、公の話として大きな声で語ることによって、1日1日の出来事を、お互いに分かち合う雰囲気を作ることです。ひそひそ話では、それを横から聞く人にとって、自分が除外されているとの気持ちをつい持ってしまいます。公の話にすることによって、お互いが分かっているという心は、お互いの協力関係を深めていくと思ったからです。

第3に、共に生活を担っていくという雰囲気です。なるべく後輩達と共にいる時間を増やしました。知的障害者と週3回の作業に出ることによって、後輩達の目先の長所や欠点だけでなく、生活からにじみ出てくる良さを、感じました。例えば、椎茸の原木一つ一つに、名前を付ける後輩のすごさに驚いたのもその時です。

そして何よりも、助かったのが、那須の山々、那須高原の雰囲気でした。小さいことでくよくよしない心、大きく物事を見る心は、大きな自然からの恵みだったと、一年間の合宿生活を終える度に、確認するのでした。