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おおらかに

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

「おおらかに」・・この言葉は、私にとって、30年以上も、大切な思い出として印象に残り慰めになる言葉です。

それは、高校卒業時に、担任の先生が「おおらかな優しい人柄で、あなたはクラスの雰囲気を和らげてくれました。ありがとう」と、私に書いてくださった贈る言葉でした。私をこんな風に見て下さっていたことに大変驚きましたが、本当に嬉しいお言葉で、心からその先生の積極的な励ましに感謝しました。現実の私は、「おおらかで優しい人柄」からは程遠いと感じましたが、不思議なことに一番「こうありたい」と、私が願っていた自分の理想の姿でもありました。

それから数年経ち、社会人として働くようになってから、同じような言葉を私にかけてくださった何人かの方々にも出会いました。

こうしたいくつかの出会いに感謝して、私は、あらためて「おおらかに」という言葉の意味を考えています。辞書には、「心がゆったりとして、こせこせしないさま」とあり、積極的な優しい言葉をかけ、力づけてくださる方々こそ、他者の弱さや欠点にかかわらず、心ゆったりと他者を受け入れるおおらかな心の持ち主であり、関わる他者を「おおらかに」できる人たちなのだということをしみじみと感じています。

良さや可能性を認めてもらって、嬉しくない人などいません。共に、自他の長所や可能性に目を向け、細かいことにこだわらずに伸ばしていこうとする姿勢は、お互いを幸せにし、自らの心も「おおらかに」していくことにつながるのだと感じています。

「現実の自分と理想の自分のギャップに悩む必要はない。それは、そのまま可能性と呼べるもの」ということを信じて、これからもおおらかに生きたいと、願っています。