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人生の教訓

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

「信行くん、君は他人のこと、気にし過ぎると言うけれど、それは誠実なしるしだよ。いいじゃないかそれで。」その叔父の一言に私は、びっくりして「叔父さんありがとう。ぼくの深いところを見ていてくれて。」というのがやっとで、叔父の家を離れたのでした。

私の叔父は、私が2歳の時、私に弟が生まれたというので、嫉妬で弟を殺しかねないから大変だと、自分の家に引き取ってくれ、小学校に入るまで親代わりのように面倒を見てくれた人でした。

だから、私の小さい時の我が儘な性格も、いい加減さが好きな傾向も、何が好きで何が嫌いかもお見通しなので、そんな土台の上に私が、どんな人生を描けば良いか判っていると思っていました。

ところが、叔父は違いました。私のマイナスだと思っていた性格が、私の心のどんなところから沸き起こってくるのかを見据えたものでした。叔父は私が自分を見る以上に、もっと深いところから私を見ている、だから叔父の言葉に信頼しよう。その時そう思ったのが今でも心に深く刻まれています。

その時、人間の言葉や行動は、見たり聴いたりする以上に、その言葉や行動が何を源として出てくるのかを探し出すことが、相手を良く理解することなのだという、人を見るための人生訓が私の心に刻まれた瞬間でした。

何気ない会話の中で、何気ない仕草の中で、その人の深い泉がどこにあるかを探すことが、その後の私の他人との出会い方になりました。それは、今の私の仕事でも活かされています。幼稚園で、初対面の50人ぐらいの子供ならば、それぞれ違った言葉で祝福をすることが出来る特技です。

自分の深さと関わっていることを求めるこの特技は、祝福を受けた子供達の態度に表れるのを見て、叔父にいつも感謝しています。