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勇気を持って歩む

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

「義を見て、せざるは、勇なきなり」。これは、だれもが知る有名な論語の一節。「こうするのは正しい、と知っていながら、それを実行しないのは、勇気のない臆病者である」と、正しいことは、即実行!それについては、勇気が必要だと力説していることは、だれもが知るところです。

ところが、16世紀末から17世紀、イギリスの劇作家、ベン・ジョンソンは、全く反対の意見を披露しています。池田書店発行の『金言名句ハンドブック』によれば、ベン・ジョンソンは、「お互いの臆病が、われわれの平和を保つのだ。もし人類の半分が勇敢で半分が臆病だったら、勇敢な者は、絶えず臆病者を打ち負かすだろう。彼らは、絶え間なく、闘っているだろうから。けれども、みんなが臆病だから、われわれは大変うまくやっている」と、臆病を評価しています。一種の無抵抗主義、これにも、一理あり、うなずけます。

昭和一けた生まれのロートルにとって、勇気とはなにか。

中学時代、軍事訓練で受けた「不動の姿勢」にからみ、叩き込まれた「勇往邁進の気概」であります。いかなる号令にも、勇んで前進、恐れることなく突き進む。確かに勇敢、しかし、蛮勇になりかねません。勇気には、明快な動機、人倫にかなった正しい目標が不可欠。

一口で言えば、「神のみ旨にかなうこと」。み旨にかなったものであるならば、「願いなさい。そうすれば、かなえられて、あなたの心は喜びで溢れる」と聖書は説き(ヨハネ16・24)、大きな希望と勇気をも与えています。神のみ旨を体現し、常に希望と勇気を失わず力強く生きたいものであります。