「こんにちは」と声をかけると、どこからか、お年を召した小柄なシスターがあらわれました。
「よくいらっしゃいました」とシスターは満面の笑顔で私たちを招き入れてくれました。彼女は、ド・ロ神父が着ていた刺繍入りの祭服から、彼がフランスから取り寄せた農機具に至るまで、一つひとつ丁寧に、それはそれは嬉しそうに説明してくれました。その言葉の一つ一つには、ド・ロ神父に対する愛と感動、誇りと喜びが込められていました。
説明が終わると、古い大きなオルガンのそばに立って言いました。「このオルガンもド・ロ神父様がフランスから取り寄せたものですよ。さあ、一緒に歌いましょう」
彼女は椅子に座ると、オルガンを弾き始めました。そして、驚くほど大きな声で歌いだしました。
「神共にいまして、行く道を守り、あめのみ糧もて、力をあたえませ...」
歌っている彼女の横顔を眺めながら、私は一つの言葉を思い出していました。
「どんな人のところに神は宿るのか、喜んでことをなし、なした事を喜ぶ人に」
喜びの表情で歌っているシスターのすぐそばに、神様がほほ笑んでいました。