そして、最後に、「あった!」と叫んで、一册の絵本を愛しそうに抱きしめて帰って行きました。それは、昔からある赤い表紙の小型の絵本でした。その子は、新しい本ではなく、いつも家か保育園で読んでもらっていた、流されてしまったこの本を探していたのです。私は、その子のことが忘れられず、絵本の好きな年の離れた仲間のような気がしました。それで、その子の記念にそれと同じ本を注文して、手に入れました。その子のことを忘れないようにと思ったからです。
人を愛したり、平和を願うということは、想像力がなければできないことだと思います。その意味で、絵本に親しむということは、実に重要なことだと、いまあらためて思っています。