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私とロザリオ

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

 高齢化社会とは言え、昭和一けた生まれの同僚、仲間は、このところ相次いであの世に召され、戦争を實体験した数少ない100歳代、90歳代に加え、今や80代の高齢者も、戦争を全く知らない多くの年代層を前に非常に貴重な存在となりました。

 私自身、第一線の戦場には赴きませんでしたが、戦前戦中は軍国少年で、1941年12月8日の太平洋戦争の開戦日は、国民小学校六年生でした。あの恐ろしい東京大空襲を体験したのは中学生時代、B29のあの不気味な爆音は、未だに、耳から消えません。

 1945年8月15日、終戦の玉音は、疎開先の鳥取県倉吉で神妙に聴き入りました。自分の人生や国家、人類にとっての重大事件の日は、忘れません。

 終戦の翌年の1947年秋、17歳になった誕生日に、私はカトリックの母校で洗礼の恵みに浴しましたが、聖母マリアにささげられた、神の執り成しを求める「アヴェ・マリア」、そして、その祈りを繰り返し唱える「ロザリオ」の祈りの賜物と信じております。

 アヴェ・マリアの祈りは、「恵みに満ちた方、主はあなたとともにおられます。あなたは女のうちで祝福され、ご胎内の御子イエスも祝福されています。神の母聖マリア、わたしたち罪びとのために今も死を迎える時も、お祈りください」というカトリック独特の祈りです。

 カトリック教会では、1854年以来、12月8日は「無原罪の聖マリア」の祭日、また8月15日は1950年以来「聖母の被昇天の祭日」、さらに建国記念日の2月11日は聖母の出現で知られるフランスの「ルルドの聖母」の祭日。いずれも、不思議な偶然の一致ですが、日本と聖母マリアには神秘的なつながりがあると私は信じ、ロザリオを大切に、つまぐっております。