2017年04月14日の心の糧


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いただく命

阿南 孝也

今日の心の糧イメージ 6年前に母が、そして昨年父が帰天しました。一方で、娘が結婚し、1昨年男の子を授かりました。先代から今、そして次世代へ命が引き継がれていくことを実感するこの頃です。

私が生を受けての60年余り、世の中は大きく変わりました。小学生のころ、両親と4人兄弟がテレビの周りに集まり、現在と比べると、家族が共に過ごす時間が多かったように思います。一台の電話を、家族に気を配りながら使ったものです。プライバシーは保たれていませんでしたが、その分、兄弟の友人関係にも詳しかったと思います。

パソコンの登場は社会や家族関係を大きく変えました。インターネットが普及し、情報の収集や発信が自由にできる便利な世の中になりましたが、家族や友人が顔を合わせて交流する機会が減ったことも事実です。

人類と祖先を同じくすると考えられている、ゴリラの野外研究で有名な京都大学総長の山極寿一先生は、こう警告しておられます。

 

「私たちはインターネットを使い、情報交換をしているような気になっていますが、最も重要な情報は対面した相手の目を通して得られるはずです。人間は相手の言っていることだけでなく、その態度、顔、表情や目の動きから相手の性格をつかみ、評価します」

ゴリラにとって、視線を合わせることは大切なコミュニケーションの方法です。食事をするときも、互いの顔が確認できる距離で集まるそうで、人間が家族で食卓を囲む姿とよく似ているのです。

人類700万年の歴史の中で、言葉を獲得するはるか以前から行ってきたと推察できる、家族が顔を突き合わせ、互いの表情から気持ちを汲み取るスキンシップの大切さを、ぜひ次世代に引き継いでいきたい、そう願っています。