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健やかさの源

服部 剛

今日の心の糧イメージ

 私はかつて高齢者の介護施設で長らく働いていました。当時の自分自身を思い返すと、戦前から戦後を生き抜いた、人生の大先輩の皆様の笑顔にふれる喜びを感じていながらも、介護職自体は肉体労働であり、また人間関係に悩む日々はある意味、闘いでもありました。それでも、利用者の皆様の眼差しは、不思議なほど温かかったことが、今も思い出されます。

 私が働いていた30年前の高齢者というと、明治時代に生まれた方が幾人かおられ、着物姿の方もいたものでした。しかし、私が働いた17年間で高齢者のイメージも変わりました。服装は洋服になり、姿勢の良い方が増え、90歳を過ぎてもなお健やかな女性が多くなりました。

 私は主にデイサービスに勤務していましたが、 多くの高齢者の方々と接する中で実感したことは、高齢者の方々にとって毎日、家の中に籠もっているよりも、通う場所があることは大事であるということです。週に何日かデイサービスに通い、他の利用者の仲間や若い職員と共に語り合い、笑い、歌いながら過ごすことで、家にいるよりも心身共に活性化され、その結果、寿命も伸びるということは、あり得ると思います。

 医学の進歩により、長寿大国の日本で誰もが百歳になるわけではありませんが、私が出会ってきた中で百歳を迎えた方々の顔を思い浮かべると、ある共通点に気づかされます。それは必要以上にクヨクヨせず、明るく朗らかな心持ちで生きるということです。

 人生を約80年と考えても、一日は誰にも等しく24時間です。同じ一日を生きるならば明るく楽しく朗らかに、笑顔を忘れずに一日を過ごしたい────。
 それが多くの高齢者の方々から私が教わった大切なことなのです。