

日本にキリスト教を伝えたことで知られるフランシスコ・ザビエルは、日本から本国に送った書簡に「日常生活のきわめて小さなことの中にも鏡に自分を映し出したかのように、自分の貧弱な姿を見る人」が、最も成長すると記している。
その人の本当の姿は、人の目につく活躍よりも、むしろ、日常生活の小さなことにこそ現れる。大きなことばかりに気をとられ、小さなことをなおざりにしていては、成長することなどできない。ザビエルは、そう考えていたのだ。
たとえば、「すべての人は神の子であり、かけがえのない大切な存在です」と説教している人が、お金持ちがやって来たときには愛想よく出迎えるが、貧しい人がやって来たときには迷惑そうな顔で出迎えるという態度をとったらどうだろう。
その行いは、その人が本心では「お金持ちは大切だが、貧しい人はどうでもいい」と思っていることを、はっきり現していると言えないだろうか。
もし本当に、すべての人がかけがえのない大切な存在だと思っているなら、相手が誰であろうと態度を変えることなく、誠実に、真心を込めて迎えるはずなのだ。
ザビエルというと、ヨーロッパから、インド、アジアの各地を旅してキリスト教を広めた人、とても大きなことをした人という印象があるが、実際には、日々の生活の中の小さなことをとても大切にする人だった。
そのような人だったからこそ、ザビエルは、大きなことを成し遂げられたとも言えるだろう。日々の生活の小さなことの中にこそ、本当の自分が映し出される。
そのことを肝に銘じ、小さなことだからといってなおざりにせず、小さなことにこそ、よりいっそう誠実に、真心を込めて取り組むようにしたい。