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担い手

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

 神戸の教会で働いていた頃、週に一度はリュックを背負い、教会の裏手にそびえる六甲山に登るのが習慣だった。

 登り始めて間もなく、ベテランの登山者から、リュックの背負い方について注意を受けた。腰のベルトをしっかり締め、リュックを体に密着させた方がいいというのだ。言われた通りにすると、確かにその方が、肩の負担が減り、長く歩いても疲れにくい。

 「荷物を背負うなら、中途半端に背負わず、しっかり背負った方がいい」。この出来事から、わたしはそのことを学んだ。

 人生は山登りに例えられることがある。人生は、重い荷物を背負って、険しい山道を登っていくのに似ているということだ。仕事や家事、育児、介護などが、ときに重く感じる荷物ということになるだろう。
 「なぜ、わたしがこんなことをしなければならないんだ」と思いながら嫌々やっているとき、荷物はわたしたちの体から離れている。それではリュックを中途半端に背負っているのと同じで、すぐ疲れてしまうだろう。長く背負い続けるには、荷物をしっかり背負う必要があるのだ。

 「わたしがこの仕事をすることで、喜んでくれる人がいる。これは、自分に与えられた尊い使命なのだ」、そのように自分に言い聞かせるとき、背負っている荷物はわたしたちの人生に密着したものになる。

 確かに重いが、この重さこそが自分の生きがいであり、自分の人生の意味だと感じられるようになるのだ。そう思えば、もう疲れはあまり感じない。むしろ、喜んで、感謝しながら運べるようになるだろう。

 背負っているうちに、荷物が段々体から離れることもある。そんなときには、荷物をしっかり担ぎ直し、自分の人生に密着させることを心がけたい。