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担い手

岸本 景子

今日の心の糧イメージ

 「担う」ということばを聞いてまず思い浮かんだのは、ヨハネによる福音書15章にある「ぶどうの木」のたとえでした。(1~5)

 私たちは枝としてそれぞれが独立しているように見えて、実は木の幹である神様とつながっていて、その枝の1本1本は木として存在するために必要な役割を担っているということ。そして、つながっていればその枝はやがて実を結ぶというたとえです。

 高校3年生の秋、私はパニック障害を患い、学校にも通えない日々を過ごしていました。暗い部屋で布団にくるまり、外にも出られずに、ただ時間だけが過ぎていく毎日でした。次第に出席日数が足りなくなり、学校を辞めざるを得なくなりました。

 両親への申し訳ない気持ちもあり、自分の生きる意味や希望を見つけられず、自ら命を絶とうと考えたこともありました。

 そんな中、家族や友人、周囲の人や目に見えない支えによって高校卒業資格をとり、苦しい中で映画に支えられた経験から、自身も映画で人を救いたいと思い、専門学校で映画作りを学びました。

 今では当時の経験を活かして、映画制作や講演活動をする機会をいただき、迷いながらですが、少しずつ歩みを続けています。

 ラジオをお聴きのみなさんにも、思い出すのもつらい経験がたくさんあったと思います。私も、当時のことをなるべくなら思い出したくないと思うときもありました。
 しかし、その経験が今につながる枝のひとつとなっていて、その枝は他の誰かの何かになることもあるのではないかと、今は思えるのです。

 だからこそ、みなさんに、たとえまだ向き合いきれないことがあったとしても、きっとそのことがみなさん自身の糧となり、他の誰かの支えになっているのだと、私は信じています。